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「タクシーアプリって本当に便利?現場の声から見えたメリットと課題」

最近は「アプリでタクシーを呼ぶ」のが当たり前になりつつあります。都心部では既に多くの方が利用しているタクシーアプリですが、地方ではまだ浸透していない面もあります。本記事では、実際のタクシー会社の目線からタクシーアプリについて考えてみたいと思います。

タクシーアプリとは何か(基礎知識)

配車アプリの仕組みとは?

近年注目を集めている「配車アプリ」とは、スマートフォンを使ってタクシーを呼べるアプリのことです。

代表的なサービスには、いわゆる大手プラットフォーマーのUber(ウーバー)、DiDi(ディディ)、GO(ゴー)などがあります。

1. アプリでタクシーを呼ぶ

利用者はアプリを開き、現在地や目的地を地図上に設定することで、近くのタクシーを簡単に呼ぶことができます。

アプリはGPSを利用して最も近い又は最も早く来る車両を自動的に手配してくれます。

2. 到着時間や料金が事前にわかる

 アプリ上で配車が完了すると、乗車までの時間の目安や運転手の情報(名前や車両ナンバー)が表示されます。

また、目的地を事前に入力していれば、おおよその料金も確認できるため安心です。

3. キャッシュレスで支払いもスムーズ

 配車アプリでは、クレジットカードや電子マネー、アプリ内決済などに対応しており、現金のやり取りが不要です。

降車時に財布を出す必要がなく、スムーズに移動が完了します。

4. 事業者によって異なる連携

Uber:アメリカ発で、世界中で展開しているグローバルな配車アプリ。日本では主にハイヤーや提携タクシー会社と連携しています。

 

DiDi:中国発のアプリで、日本では大阪や福岡、静岡などでも展開。地域のタクシー会社と提携し、使いやすさに定評があります。

 

GO:日本発の配車アプリで、都市部だけでなく地方でも展開中。大手タクシー会社との連携が進んでいます。

 

 

これらの大手プラットフォーマーはAIを活用した自動配車を導入しております。 

■ AI配車とは?

AI(人工知能)による配車とは、利用者の現在地・需要・過去の傾向など多くの情報をもとに、最適な車両を自動で割り当てる技術です。

 

従来のように「オペレーターが手動で配車する」方法に比べ、配車スピードや効率が格段に向上します。

スマホで呼べる、料金が事前にわかる、キャッシュレス対応などの特徴

配車アプリの最大の特徴は、「手軽さ」と「安心感」にあります。

これまでタクシーを呼ぶには、電話をかけたり、流しのタクシーを見つけたりといった手間がありました。

 

しかし配車アプリを使えば、スマートフォンの操作だけで、現在地にタクシーを呼ぶことができます。

また、多くのアプリでは目的地を入力することで、乗車前に料金の目安が表示されるようになっています。

これにより、「料金がいくらかかるのかわからない」という不安が軽減され、観光客や初めての土地を訪れる方にも安心です。

 

さらに、キャッシュレス決済に対応している点も現代的です。

あらかじめアプリにクレジットカード情報などを登録しておけば、降車時に支払いの手間がなく、スムーズに移動を終えることができます。

 

最近では、PayPayやApple Pay、Google Payといった多様な決済方法に対応しているアプリも増えています。

このように、配車アプリは単に「呼ぶだけ」ではなく、便利・安心・スマートな移動体験を提供してくれるツールになってきているのです。  


導入の広がりと現状

都市部での普及状況

東京都心部や大阪、名古屋などの大都市圏では、配車アプリの利用はすでに一般的になっています。

特に駅前やオフィス街、繁華街では「GO」や「DiDi」、「Uber」などのアプリを利用してタクシーを呼ぶ光景が日常的です。

 

スマートフォンで簡単に呼べる手軽さや、キャッシュレス決済対応、到着時間の見える化といった利便性が受け入れられ、若年層だけでなくビジネスマンや観光客にも広く浸透しています。

 

また、都市部では「アプリ優先配車」を行っているタクシー会社も多く、流し(街中を走っている空車)よりもアプリ経由の配車が優先されるケースも増えています。

地方(静岡など)での導入の現状と課題

一方、地方都市では配車アプリの普及はまだ発展途上です。

 

静岡市内の一部エリアでは「GO」や「DiDi」が使えるタクシーもありますが、すべてのタクシー会社が対応しているわけではありません。

 

また、高齢者層のスマートフォン利用率が比較的低いことも、普及を妨げる要因のひとつです。

 

さらに、地方では電話予約による配車が根強く残っており、「アプリよりも顔なじみの配車係に頼む方が安心」という声も少なくありません。

 

また、アプリ経由での配車にはシステム使用料が発生することから、タクシー事業者にとっても導入には慎重な判断が求められます。

実際に使われているシーン

都市部・地方を問わず、配車アプリは特定のシーンでは非常に便利なツールとして活用されています。

 

たとえば・・・

 

空港送迎(例:羽田空港、静岡空港など)

 → 事前にアプリで手配しておくことで、待ち時間ゼロでスムーズな移動が可能

 

観光地へのアクセス(例:熱海、富士山周辺、登山口など)

 → 観光客が土地勘のない場所でも安心してタクシーを呼べる

 

悪天候時の移動(雨の日、猛暑など)

 → 通常の流しタクシーが捕まらない状況でも、アプリで確実に確保できる

 

これらの場面では、利用者にとってもタクシー会社にとってもWin-Winの関係が築かれています。


地元タクシー会社としての視点

タクシーアプリの導入は、お客様にとっての利便性向上だけでなく、私たち地元タクシー会社にとっても新しい可能性を広げるものです。

 

しかし一方で、実際に現場で運用してみると、利点と同時に課題も浮き彫りになってきます。

メリット:新しい顧客との出会い、スムーズな支払い

配車アプリを導入する最大のメリットの一つは、これまで接点のなかった新規のお客様とつながれることです。

 

特に、観光やビジネスで地方を訪れる方にとっては、地元のタクシー会社を知るきっかけが少ないのが現実です。

アプリを通じて乗車していただくことで、「初めての方」との接点が広がるのは大きな魅力です。

 

また、キャッシュレス決済のスムーズさも、私たち運転手やお客様双方にとってストレスのない体験を生んでいます。

金銭のやり取りが不要になることで、トラブルや誤解の防止にもつながっています。

課題:高齢者の利用の壁、アプリ手数料、配車の偏り

一方で、現場で実感しているのは、高齢のお客様との間にある“デジタル格差”です。

スマートフォンを持っていない方や、操作に不慣れな方にとっては、アプリでタクシーを呼ぶという行為そのものが大きなハードルになります。

 

また、タクシー会社側としては、アプリ運営会社への手数料負担も無視できません。

1件ごとの配車に対して数%〜数百円程度のシステム使用料が発生するため、収益性の面で慎重にならざるを得ない部分もあります。

 

さらに、アプリによる配車では“呼ばれやすいエリア”に車両が偏りやすくなる傾向も見られます。

特に人口密度の低いエリアでは、アプリ経由の配車が入らないこともあり、結果として「効率重視」と「地域密着」の間でのバランス調整が課題となっています。

技術の進化は大きな可能性を秘めていますが、地域の現実やお客様の多様なニーズに寄り添った運用こそが、私たち地方のタクシー会社に求められている役割だと感じています。


今後の展望

タクシーアプリの普及は全国的に進んでいますが、私たちが拠点とする地域のように「都市と地方の間」にある中規模都市では、導入と活用のあり方に工夫が求められます。

地域に合ったアプリ活用の可能性

今後は、単にアプリを導入するだけでなく、地域性に合った“使い方”を模索することが大切です。

 

たとえば観光シーズン中の登山口送迎や、病院・介護施設への送迎など、地元で特に需要の高い移動ニーズに対して、アプリによる事前予約やルート最適化を活用することで、より効率的な運行が可能になります。

 

また、地元住民と観光客の利用動向は異なるため、一律の配車アルゴリズムでは拾いきれない需要にも柔軟に対応できる設計が求められます。

地域密着の視点を持つタクシー会社だからこそ、地元の移動事情に即したアプリ活用ができると考えています。

 

「顔の見えるサービス」との併用

配車アプリがいくら便利になっても、お客様との信頼関係を築いてきた「顔の見えるサービス」は、これからも変わらず大切な存在です。

 

特に高齢のお客様や、毎日決まった時間に通院される方にとっては、「いつものドライバーが来てくれる安心感」こそが何よりの価値です。

 

アプリの利便性と、地元密着の接客とのハイブリッドな運用こそが、これからの地方タクシーのひとつのかたちになるのではないでしょうか。

 

千代田タクシーでは、今後も地域に根ざしたサービスを大切にしながら、新しい技術やシステムとの共存を目指してまいります。


まとめ

地域の方を取り残さない、未来のタクシーへ

タクシーアプリは、確かに便利です。

 

スマートフォンひとつで車を呼べる時代になり、移動の選択肢は大きく広がりました。

 

しかしその一方で、スマホに不慣れな高齢者の方や、通信環境が整っていない地域にお住まいの方など、「新しい仕組み」に取り残されかねない人たちがいることも、私たちは日々の現場で痛感しています。

 

千代田タクシーでは、そうした現実を見つめながら、便利さだけを追い求めるのではなく、「地域に生きる足」として本当に必要とされる存在であり続けたいと考えています。

 

たとえば、無線での配車を続けながらアプリ配車を導入したり、顔見知りのドライバーによる温かい接客と最新技術を融合させたりと、誰ひとり取り残さない交通のかたちを模索しています。

 

時代の変化に柔軟に対応しつつ、地域の暮らしに根ざした交通サービスとは何か。

 

私たちは、その答えを日々の営業の中で考え続けています。アプリも、電話も、声がけも、すべての手段をつないで、「その人にとって最適な移動」を提供できる会社でありたい。

 

千代田タクシーはこれからも、技術と地域のあいだに立ち、悩み、工夫し、挑戦し続けることで、「安心して暮らせる交通」を支えてまいります。


2025年7月時点で千代田タクシーが導入しているアプリ


 

 

タクシー配車の相談・お問い合わせ先

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この記事の筆者

千代田タクシーコラム編集部

 

本コラムでは、タクシーに関する疑問への回答や様々なお役立ち情報を発信していきます。

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